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九.絢音の計画

「だからそういうのはちゃんと連絡入れてからにしろって!」
「連絡だと、本当に都合が悪くて断られてるかどうか、納得いかねえだろ」
「俺のこと信用してないわけ?」

「お前、俺には素っ気無くしても構わないと思ってるだろう?」
「そういうこと言うと、本当に素っ気無くするぞ」
 なんだかとてつもなく騒々しい会話に、斗音は意識を呼び起こされた。
(・・・・・・嵐・・・・・・?)
 ちょっと身体がだるい気がした。ゆっくり身体を起こして、辺りを見回す。見知らぬ部屋のベッドの上。
「ちょっと、やめ、人がいるって言ってんだろっ!!」
 どかっと何かがぶつかるような音。なんだか不安になって、斗音はベッドから降り、そっと寝室のドアを開けてみた。そこは、昨夜確か嵐にアルコールをご馳走になった部屋だった。硝子のテーブルの近くで、嵐が上に圧し掛かる人物に組み敷かれていた。

 嵐が人間というものに後れを取るなんて、見たこともなかったので、斗音は思わず目を瞠った。
「安土(あづち)、てめえ、ぶっ殺すっ!!」
 あの嵐が力一杯もがいているのに、いともたやすく抵抗を封じられ、圧し掛かった人物の大きな手で、あとに続く言葉を奪われた。

(な、何!?)
 嵐に圧し掛かっていた人物はにやりと笑うと身体を起こし、ふとこちらに視線を向けた。
(や、やばっ)
 斗音がぎくりとするのと、相手が軽く目を見開くのが同時だった。漆黒の前髪を六割ほど上げて横へ流し、同じように漆黒の眉はきりりと上がって弧を描き、その下にはやはり漆黒の瞳が野性的に輝いている。高く通った鼻筋に意志の強そうな、自信ありげな唇。かなりの美丈夫であり、その眼光は並の人間が身につけられるものではない、独特の威光を含んでいた。その光が、含み笑いで、少しからかうように悪戯っぽく変化する。
「よう。朝早くに騒々しくて悪いな。こいつの往生際が悪いばっかりに」
 途端、下から男性のみぞおちに嵐の拳が飛ぶ。入ったかと思ったのに、それは間一髪で嵐よりひとまわり大きな手の平にヒットしていた。
(・・・・・・人間業じゃない・・・・・・)
 斗音が驚きを隠せないまま、大きな目を更に大きくする。あの、誰よりも別格の嵐が、その拳を握りこまれて悔しそうに舌打ちをした。
「お前が東雲の高校の友達か。さすがは類友。綺麗な顔してるな」
 美丈夫の男性がニヤニヤしながら斗音を見た。なんだかすごく楽しんでいるようだ。
「失礼な言い方するな。大体いつもお前は外見から入る」
 かなりむっとしながら嵐が睨みつけるが、それでも平然としているところがまたすごい。
「外見だって人間の付き合いの入り口には違いない。それで気に入れば、内面を知るきっかけになるだろ」
 なるほど、と思わず斗音は感心した。そんな考え方をしたことはあまりなかった。
 どけよ、と嵐は腹立たしげに、絹のような光沢を持つグレーのシャツに黒のジャケットを着た相手の上半身を突き押した。男が立ち上がって、斗音はその長身に更に驚く。190を越えているのではないかと思える、すらりとしたその身体に、黒のスーツがとても映えて見えた。
「俺は斯波安土。東雲の・・・・・・友人。今のところはな。お前は?」

 自分に振られて、斗音はかなり心臓に悪い思いをしたが、慌ててしゃんと立った。
「椎名斗音です」
 にっと笑って、斯波安土と名乗った男性は、嵐の腕をつかんで引っ張り起こした。
「朝食を誘いに来たんだが、できればあと十分で準備してくれないか、椎名。東雲、お前もだ」
「あのな。俺らの意見も少しは聞けよ」
「例え聞いたとしても、俺は連れて行くから、一緒だろ」
(なんて強引な・・・・・・)
 斗音は少々嵐を気の毒に思いながら、慌てて準備をするために洗面所に向かった。
 かくして十分後には、朝早くからの騒動の主の予言通り、二人は車で移動していた。車は真っ黒のベンツ。かなり大きいタイプである。助手席から嵐が説明をする。
「安土は・・・・・・表向き、東洋医学専門家。漢方の処方もするし、針治療もできる。裏家業は暴力団斯波組の組長。といっても、何するわけでもないけど、高利貸しとか不動産とかやってるんだよな」
 なるほど、と斗音は思う。このベンツはいかにもという感じだ。運転席の斯波が訂正する。
「違うぞ。表向きが組長、裏が東洋医術関係だ」
「そっちのがタチ悪いじゃねえか」

 暴力団というと、かなり関わりたくないイメージのはずだが、なんだかこの斯波はちょっと違う。義理人情とか堅苦しい家の雰囲気とか、ドスとか、特攻部隊のチンピラとか、指詰めとか、そういったものとは縁遠い気がする。大体、東洋医学と同居するものでもなさそうだ。それに、組長が直々に車を運転していていいのだろうか。
「特に何もしないなら、暴力団なんて名乗らなくてもいいんじゃ・・・・・・?」
 控えめに質問した斗音に、斯波がカラカラと笑って答えた。

「親父が一代で立てた看板でな。親父の代ではまあ、ちゃんと暴力団とか、やくざな世界だったぞ。俺はそれが肌に合わなくて、とりあえず少数精鋭で組を立て替えた。だから、暴力的なことはしない。頭脳的に効率よく、だ。大体企業ってのはそういうもんだろ。今時脅しなんかかけたって、客取れねえんだよ。組員も少ねえし。時々抗争なんかに巻き込まれたり発展したりする以外は、普通の企業と変わらねえな」
 斗音は不思議でならない。斯波は見たところ二十二、三である。それだけの仕事ができるということは、少なくとも大学は出ているだろう。そうなると最低でも三十代に入っていなければ、ここまで達観した企業感みたいなものは持てないのではないだろうか。それを後部座席からそっと嵐に聞くと、嵐が今度は爆笑した。
「こいつ、何歳に見える?」
 途端、運転席から鋭い声が、機嫌悪さを載せて飛んでくる。
「東雲、てめえ」
「さっき俺で遊んだだろ。これくらいいいじゃねえか。な、斗音。どう思う?」
 正直に答えてみな、と、促す。斗音は散々迷って、正直に答えた。
「二十・・・・・・三歳くらいに見えるかな」
 嵐がくくっと肩を揺らした。安土がバックミラー越しにむっとしているのが分かった。斗音は自分が言ったことで何らかの波紋を呼んだのが分かって、ハラハラした。

「ほらみろ。絶対二十代前半に見えるって。自分では二十五、六に見えると思ってるんだぜ」
「笑い過ぎだ」
 嵐はそれでも込み上げる笑いを抑えながら、斗音を振り返った。
「こいつ、二十八。童顔の組長なんて、笑えるだろ」
「そ、そんなことないけど、お若いのにすごいですね。いろいろ手がけていらっしゃって・・・・・・」
 一生懸命フォローしたつもりの斗音だったが、斯波はバックミラーを使って斗音をちらりと睨んだ。

「若くない」
「えっ、そ、そうですか?」
「一回り近く離れてるお前らに若いなんて言われたくねえぞ、俺は」
 妙なこだわりがあるようだ。若いという言葉にコンプレックスがあるのだろうか。
「ええと、じゃあ、思ったよりお年を召してらっしゃるんですね?」
 やぶれかぶれで言ってみると、斯波はいきなりスイッチが入ったように笑い出した。隣で嵐も大爆笑である。一通り笑ってから、斯波は嵐を見遣った。
「こいつ、面白いな」
「お前には誰も敵わねえけどな」

 なんだかコントを見ている気分になるのは、気のせいだろうか。こんな組長だったら、きっと素敵な暴力団なんだろう、なんて思いながら、斗音は前の二人を眺めていた。

 なぜか朝っぱらからホテルの朝食をご馳走になった斗音は、そのまま慈恩の待つ家まで送ってもらうことになった。家の前に大きなベンツが止まったので、慈恩はかなり驚いたらしい。干しかけの洗濯物を放り出して門まで走って出迎えに来た。
 嵐が車から降りて、ことの次第を説明すると、慈恩は運転席の美丈夫に丁寧に頭を下げた。
「兄がお世話になりました。どうもありがとうございました」
 斯波はにっと笑って見せたが、次の瞬間に慈恩をまじまじと見つめた。
「兄?」
「双子なんだ。斗音が兄貴、こっちが弟の慈恩」
 嵐が紹介したので、もう一度慈恩は軽く会釈する。斯波はふうん、と感心したように二人を見たが、もう一度、いつものようににやりと笑った。
「東雲がいつも世話になってるみたいだからな。なあ、斗音の方。お前、喘息の気があるだろう。よかったらうちで体質改善の薬、処方してやるぞ。ちょっと値が張るが、酷くなるようなら来るといい。東雲のよしみでまけてやる」
 じゃあ、と開けていたウインドウを閉じる。硝子に色がついているので、斯波はほとんど見えなくなる。嵐が助手席側のドアを開けながら、慈恩を見た。
「慈恩、ごめんな。一晩斗音を借りたけど。・・・・・・もう少し、お前の思いを話してやるといい。お前が自分のことを自覚してないことも、あんまり話さないことも知ってるけど・・・・・・な」
 言って軽く手を上げると、助手席に滑り込んでドアを閉めた。静かに車が発進する。慈恩は更に軽く頭を下げた。そして、斗音に目を向ける。
「何、喘息のこと、話したのか?」
 斗音がふるふると首を振る。
「俺もびっくりした。あの人、東洋医学の専門家なんだって。多分、俺の顔色とか様子見て、だと思う」
「・・・・・・すごいな、専門家ってのは」
 感心の溜息とともに慈恩が言うと、斗音は大いにうなずいた。
「そう、それに滅茶苦茶いい男だった。慈恩より十センチくらい背が高くて、あの嵐が子ども扱いされるほど腕が立って、すげーかっこいい人だった。なんか嵐としゃべってるとコントに聞こえるんだけど。でさ、俺見てて思ったんだけど、あの人嵐のことが好きなんだと思う」
「どういう意味で?」
「本気で」
「は?」

 斗音はくすくす笑った。
「自分から名乗ってくれたんだけど、自己紹介がね、嵐の友人。今は、だったんだ。これから発展させるって意志だろ。それに、嵐の部屋の家具とか、たぶんあの人がお金出してるんだよ。嵐が出すって言っても聞かないって言ってたから」
 
それは斗音の推理だが、当たっている。慈恩は半分感心しながら聞いていた。
「なんかすごい人だな・・・・・・。さすが嵐の知り合い?」
「ほんとそんな感じだった」
 玄関に向かって歩きながら、斗音の話は止まらない。
「でさ、もっとすごいのが、あの人の裏家業でね・・・・・・」
 慈恩は干しかけの洗濯物の続きをしなければ、と考えながら、苦笑した。斗音に言いたかったことを一晩、胸に抱えていたというのに、それをすっかり忘れそうになっていたことに気づいたのだ。

(この調子じゃ、しばらくは話せないだろうな)

   ***

 斗音のクラスは、如月祭で様々な「名場面」の再現をすることになっている。誰もが知っている映画や人気番組の名場面で、どんな方法を使っても、それらしく見せられたら大成功、といった感じだ。例えば翔一郎は、マトリックスの主人公、ネオが、上体を反らして銃弾をかわすというシーンを担当する。もちろん、あんなのができるわけがない。黒子役の数人がそれを支えるのだ。瞬はもっと笑える。同じ名前で可愛らしいキャラがかぶっていると言う理由で、アニメにもなった聖闘士星矢に出てくるアンドロメダ瞬の再現である。翔一郎のアクションつながりで、「アクションと言えば?」で場面が移る。何でも双魚宮のアフロディーテとの戦いなのだとか。それをみんなが知っているのかどうかは分からないが、瞬が命尽きていくアンドロメダの役をやれば、客に受けることは間違いない。アフロディーテというキャラも超美形らしく、バレー部のすごく背の高い女子がやる事になった。チェーンが渦巻いたり、薔薇が飛んだりするのを、人で補佐するらしい。アフロディーテ役にも名の挙がっていた斗音だが、更に異色の役に納まってしまった。
「なかなか鎖のヨーヨーって難しいんだよ」
 溜息をつきながら、生徒会室でヨーヨーの練習をする斗音が藤堂に苦笑して見せる。この場面は瞬のネビュラチェーンから「鎖と言えば?」で斗音のスケバン刑事につながる設定になっている。
「スケバン刑事ねえ。よくそのおもちゃ、あったな」
「昔流行ったらしいよ。年の離れてる姉さんがいるって子がいてさ。その姉さんがまた物持ちよくて、これ小さい頃に買ってもらったのとってあったんだって。大体、その話があったから、俺がこんな役をやる羽目になったんだ」
 ドラマとはちょっと違った細めの鎖のヨーヨーである。よく考えれば、あんな人を縛れるような太い鎖でヨーヨーができるはずがない。シャララ、と音を立ててヨーヨーが回る。
「うまいもんじゃん。それで敵をぐるぐる巻きにするのか?」
「するよ。でも、よく考えたら敵に巻きついたヨーヨーが手の中に帰ってくるわけないだろ。その辺をどうするかが、2-3の見所ってとこだよ」
「セーラー服も着るのか?」
「・・・・・・」
 思わず斗音は言葉を詰まらせた。嫌だと言ってもやらされるだろう。大体、このあと続くのは「セーラー服といえば?」で、美少女戦士セーラームーンなのだから。それに当たらなかっただけ、ましである。
「お楽しみってことで」

 笑ってごまかしておくことにした。
 そこへ、カラカラと戸を開く音がして、弓削と慈恩が入ってきた。
「お、相変わらず斗音はヨーヨーの練習か。俺絶対見に行くからな」
 弓削が爽やかな笑みでからかうように言う。斗音は負けずに返した。

「俺も、弓削先輩のクラスでやるフリマ、行きますよ。変装見破りに」
 弓削と武知の3-6は、どれだけ変装を見破られずに物を売れるか、六人のチームごとに競うらしい。全員ばれてしまったチームは販売終了というわけだ。そこでどのチームが最後まで残るか、なんと生徒の中で五百円までの賭けが行われる。賭けに勝った者は配当金の代わりに購買のチケットが配当金の分だけもらえる。フリーマーケットで売るものは、全校から集めた不要品で、もちろん学校らしく、売上金はユニセフに寄付することになる。どこかのテレビ番組の企画を真似たものだが、最も売れたチームには「LOVE&PEACE+Pleasure」の如月祭スローガンのもと、生徒会長から特別景品として、購買のチケット三千円分が贈られる。

「俺らは絶対見破れない変装を考案中だよ。まあ、楽しみにしててくれ」
 弓削はくすくすと笑った。かなり自信ありげだ。よほどの案があるのだろう。
「藤堂んとこは何だっけ?」
「あ、うちはお化け屋敷っすね。全員でお化けに仮装するんで、見に来てください。結構凝ってますよ、案だけは」
 あははは、と藤堂が笑う。やりたがりの彼のことだから、きっととんでもないお化けになるに違いない。
「飯は慈恩のクラスに行けば、まけてもらえるのか?」
 弓削が楽しそうに言うと、慈恩が苦笑した。

「びた一文、まけません」
 慈恩や嵐の所属する2-5は一応喫茶をやる。しかし、ただの喫茶ではなく、一時間ごとに喫茶店内でショーが始まる。いきなり客を巻き込んだサスペンス事件が起こるのだ。事件は二日分、十二通り準備されることになっている。全てオチかハッピーエンドが用意されており、利益になった金額をユニセフに寄付するところで、スローガンの「Pleasure」や「PEACE」に絡めている。一応企画賞狙いだ。ちなみに慈恩は演技派ではないので、ただのウエイターである。

「よう、みんな早いな。と言っても、会長がいねえと始まらねえか」
 言って入ってきたのは武知である。続いて莉紗が走ってきた。
「各クラスと部活の企画表、できたわよ。それぞれの催し場所と時間も。おかしなところがないか、みんなでチェックして」
 言われてみんなが莉紗の持ってきたコピーを受け取り、目を通す。
「ステージは今年、盛りだくさんだな。3-1の新撰組は見に行きたいけど、3-5のリングも面白そうだな」
「今井、土方歳三だって。なんか、主役じゃねえけど、一番オイシイとこだな」
「なあ伊佐治。貞子って、誰がやるんだ?お前?」

「どうしてそこで私の名前が出るのよ。ふふ、でも、うちの貞子は見物よ」

「時間的には余裕があるから、見ようと思えば二つとも見られそうですね。執行部の企画もぎりぎり時間から外れてるし」

「何言ってるの。外したのよ」
「お、さすが凄腕秘書」

「誰が秘書よ」
「科学部の実験の時間、昼前の方がよくないですか?ここの部長、この日の午後からクラスで手品になってます」

「あ、そうか。有志の出場メンバーとかいろいろ考えて、クラスの企画だけはかぶらないようにしたつもりだったんだけど、部活まで行き届いてなかったな。部活の出し物は室内が多かったから、クラスの企画の時間とずれた部員が当番制でやればいいと思ってたんだけど、美術部とか漫研と違って展示してるだけじゃないんだ」
 莉紗がふう、と溜息をついた。このタイムテーブルを作るのは、かなりの時間と労力を費やしたに違いない。
「大丈夫だろ。あとはステージ発表とかお菓子作りとか、時間が決まってるか分担すればできるもんばっかだし。午前の有志と入れ替えるか、3-2の手品を午前にするか。いっそ、水蒸気爆発なんだから、運動場にしたらどうだ?雨が降ったら困るけど・・・・・・」
 弓削がシャープペンシルでさらさらと印をつける。
「よう、スケジュールできたんだな。さすが莉紗、仕事が早い」
 いつの間に入ってきたのか、今井がスケジュール表を手に取っていた。
「一番話題性があるのはうちの新撰組だろ。トリにしたらどうだ?」
「それはなあ。ひいきとか言われるんじゃねえの?」
 武知の言葉に今井は笑った。
「まあそりゃそうだけど、ラストが二年のかくし芸だと、見放される可能性があるだろ」
「それもそうッスね」

「最後まで目が離せないってのは、やっぱいるよな。綺麗ごとだけじゃ駄目か」
「・・・・・・実際の話、前評判が一番高いのはどこです?」
 慈恩の質問に、三年メンバーが顔を見合わせた。

「三年三組男で作る宝塚仕様、ベルサイユのばら?」
「ああ、あそこ男クラ(男子クラス)だからね。かなり力入ってるらしいな」
「俺がいる時点で新撰組も堅いぜ」

「自分で言うか、今井」
「俺は事実を言ってるんだ」
「馬鹿、だから尚更角が立つんだろ」
「うちも負けてないと思うけどなあ」
「そうだな。莉紗、貞子やるのか?」
「だからどうして私を連想するかな」

「二年はどうだよ?」
 弓削の質問に、今度は斗音と慈恩と藤堂が一瞬顔を見合わせる。莉紗が補足した。
「二年でステージ物となると・・・・・・2-3の二年三組流名(?)場面集、それに2-1の如月祭かくし芸大会と2-6の吉本ならぬ如月新喜劇ね」
「どれも物語メインじゃないんだよな?」
「言われてみれば・・・・・・。2-4って何だっけ?」
「『うねる大捜査線』自作映画よ。これもステージ上映だけど、これは一年同様、トリってわけにはいかないかな」
 さすが、スケジュールを担当しただけあって、莉紗が一番詳しい。
「そうか。となると、やっぱ三年生陣でトリにしたほうがいいだろ。じゃあ、リングと新撰組とベルばらで多数決。前評判は同じくらいだからな」
 今井がどんどん決めていく。残り六人とも、依存はない。
「じゃ、まずリングは?」
 莉紗と藤堂が手を挙げる。
「次、新撰組」
 今井自ら手を挙げ、武知も続く。
「最後、ベルばら」
 斗音、慈恩、弓削の手が挙がる。今井はうなずいた。

「決定。トリはベルばら。反対意見は?」
 全員それぞれに首を横に振る。ものの一分足らずの決着であった。
「じゃあ、莉紗。悪いけど多少の時間の訂正と、体育館の発表順、入れ替えといてくれ。にしても、何でお前らベルばらなんだよ?」
 振られて、弓削はニマニマ笑った。
「だって、宝塚って女だけでやるもんだろ?それを男が挑戦って言うだけで、かなりインパクトあるよ」
「執行部員がいないクラスだから、のちのち色々言われなさそうですし」
 慈恩もうなずく。斗音も笑顔で補足した。
「男子生徒だけの団結力って、侮れないですよね」
 3-3は、基本的に作業の丁寧な女子がいない分、他より何かと大ざっぱになりがちだし、体育祭では三年学年種目で有利だが、女子がいないために三組連合の緑団は女子種目の棒引きが一・二年だけで不利になるし、応援団もちょっとむさくるしいし、何かと特殊なクラスになる。よって彼らは、自分たちは他とは違うのだというある種プライドのようなものがある。人数的な関係で女子クラスは有り得ないので、尚更である。
「よぉし、だんだん具体的になってきたなあ。体育祭の方は、斗音、見通し立ってるか?」
「はい。じゃあ、こっちの資料も一人一部ずつ取ってください。まだ大まかなプログラムの段階ですけど。各学年からの学年種目は出そろいましたから、入れておきました。それぞれの競技ごとにグラウンドの使い方を提案してあります。応援合戦は毎年各団準備移動を含めて持ち時間五分。変わりなしで提案したいと思います。応援団の方ですが・・・・・・」
 斗音は体育祭の全面担当になっている。文化祭の企画賞担当が弓削に移ったので、今はひたすら体育祭の計画に打ち込んでいる。クラスの企画にも参加し、執行部の仕事もこなし、家ではもちろん学習も怠らない。そんなにたくさん抱え込んで、本当に倒れはしないかと慈恩としてははらはらしているのだが、斗音は持ち前の精神力でむしろ楽しげにそれらをこなしている。
 逆に慈恩はクラスの企画ではただのウエイターなので、執行部の仕事に時間を割ける。で、その執行部の仕事は文化祭の食品を扱う関係の担当である。衛生面や資金面、料金設定などは全て慈恩の責任である。が、それほど現在の時点で忙しいことはなく、専ら家に持って帰ってくる斗音の仕事を手伝っていた。
(斗音は本当に・・・・・・すごいな。この精神力なら、どんな状況になってもきっと生きていける)

 慈恩は胸に抱いたままになっている相談事を、未だ斗音に打ち明けられないでいた。

   ***

「ねえ、慈恩さん?今日は食があまりお進みにならないのね。どうかなさったの?」
 問い掛けられて、慈恩ははっとした。七月に入り、梅雨も明けた土曜日の午後。初めて会った時と同じレストラン、同じ席で、違うメニューとちょっと薄着になった目の前の美しい女性が視界に映って、申し訳なさを感じる。
「すみません・・・・・・。ちょっと、考え事をしていました」
 九条絢音は鈴を転がすような声を立てて笑った。
「まあ、まだ堅苦しい話し方をなさるのね。こうしてお会いするのも四度目。もっと打ち解けて下さってよろしいのに」
 このお嬢様言葉の前で、どうして打ち解けた話し方ができるだろう。慈恩は苦笑した。思えば、初めて彼女のほうからコンタクトを取ってきてから、ほぼ毎週のようにこうして会っている気がする。当然、絢音のほうから誘いがあるのである。慈恩としては特に断るほどの理由もないから、こうして出かけてくるのであるが、そのたびに絢音が慈恩のために湯水のように金を使うので、それだけが心苦しくてならない。一度目も二度目も三度目もそう言ったのだが、そう言うたびに絢音はなんだか寂しそうな顔をする。そして必ず言うのが
「これくらいのことさせて頂かないと、申し訳が立たないのですわ」
という言葉だった。とてもそんな風には思えないが、それが絢音にとって何かしら意味のある行動であることは、慈恩にも分かったから、あまり強くは言えなかった。
「もしかして、最初の日にお話したことかしら?貴方をそんなうわの空にしているものは」
 絢音の言葉に、またまたはっとする。図星だった。
「・・・・・・はい・・・・・・。実は、まだ兄にも何も話していなくて・・・・・・」
 シャツの下のクロスを無意識に探りながら、躊躇いがちに言葉を選ぶ慈恩に、絢音は首を振った。

「私がいきなりとんでもないことを言ったんですもの。迷って当然ですわ。貴方を養子にしたいなんて。でも、私は今でもずっと本気ですのよ。前にも言った通り・・・・・・ずっと子供ができないことで私たち夫婦は悩んできて、貴方の強さに励まされて・・・・・・そんな貴方のご両親が亡くなられていると聞いて、不謹慎でしょうけれど、私はこれが運命のように思えたのです。神様がもし本当にいるのなら、悩んでいる私たち夫婦に救いの手を差し伸べてくれているのだろう、と」
 絢音の気持ちは、最初に会ったときに聞かされていた。両親のことを聞かれて、二人とも亡くなったこと、今は父方の祖母に名前だけ保護者として借りていることなどを話すと、熱に浮かされたように養子にならないか、と切り出してきたのだ。当然、病を抱える兄を一人残してそんなことはできないと言ったのだが、絢音はそれなら斗音も、二人一緒に引き取ると提案した。それでもいきなり返事もできないし、色々考えたいこともあったので、慈恩は二回目も三回目も、その話題に触れることができなかった。
「でも、実は私の方も両親や親類にそのことを言い出せずにいるの。もちろん、夫には話したんですけど、夫も貴方を知っているわけではないし、まして斗音さんのことは私もよく知らなくて。だから一度、私たち夫婦であなた方ご兄弟にお会いしたいと考えておりますの」
 これも、何と返事をしたものかと戸惑う。
「まずは兄に話してから・・・・・・。斗音は嫌だとは言わないと思います。俺よりずっと人間としての器は大きいですから。でも、まだ何も知らない状態なので、今は何ともお答えできないのですが」
 絢音はにっこり笑ってうなずいた。
「ごめんなさい、また私先走ってしまって。私も覚悟を決めて、両親に自分の思いを話すことから始めなくちゃ。あ、そうだわ。貴方や斗音さんの写真なんて、持ってらっしゃる?私、夫にだけは早く見せたくて。あの人は絶対に私に賛成してくれるから・・・・・・」
「家にならあるとは思いますけど、今はちょっと」
「そうよね、男の子ですもの。そんな写真とか、あまり持ち歩いたりなさらないわよね。パソコンでメールとかなさいますの?」
「はい」
「じゃあ、私アドレスをお教えしますから、もしよろしかったらこちらにメールで送っていただけません?そのほうが手っ取り・・・・・・ええと、早く見られますわ。今日にでも」
 慈恩は思わず笑ってしまった。本当に、根っからのお嬢様なのに、突っ走るとどんどんお嬢様から遠ざかってしまう。言葉遣いもそうだ。この人は、嫌いではないと思う。
「分かりました。じゃあ、送らせていただきます。でも、養子の件についてはもう少し考えさせてください」
「ええ。構いませんわ。もうすぐ夏休みですわね。インターハイ、頑張ってくださいね。さ、そのためにも力をつけていただかなくちゃ。遠慮なさらずにお食べになって」

 慈恩は促されるままにナイフとフォークを取った。今日はイタリアンコースを頼んだらしく、ゴルゴンゾーラのペンネとたっぷりのベーコンとモッツァレラチーズのカルツォーネ、牛フィレ肉のステーキに手長海老のリゾットと、次々に運ばれてくる。絢音は少食なので、慈恩はいつもかなり食べることになる。
 
斗音は今日練習試合で近隣の高校に行っている。三校合同でやるらしく、一日かかると言っていたから、部活に行く前に弁当を作って持たせた。卵とキュウリとトマトのサンドイッチに唐揚げ、小ナスのミニグラタンにレタスとチーズとハムでミニトマトを包んだ一口サラダ、巨峰を数粒。自分なりに色々と工夫したつもりだが、それに比べて自分が食べているものを思うと、斗音にも申し訳ないような気分になる。
(話してみよう。俺一人では、それがいいのかどうかも判断できない)

 慈恩に答えは出せない。慈恩の答えは、斗音の答えとともにあるはずだった。

   ***

 息子との四度目のデートを終えて、絢音の足は雲の上すら歩けそうなほど軽かった。
(今日はあの子に似合う夏のシャツが見つかったわ。爽やかな色がよく似合って。本当にかっこいいわ、あの子。早く雅成さんに報告したいわ)
 部屋に入るなり、夫の姿を見つけて飛びつく。
「雅成さん!」
「お帰り。今日もご機嫌だね。僕に言いたいことが一杯って顔してるよ」
 にこやかに絢音を支える雅成である。初めのうちは、雅成とて心穏やかではいられなかったのだ。絢音に十七になろうという子供がいた事実。それが高校時代の教師との間にできた子であったとか、産まれてすぐに親族の手によって引き離され、行方知れずになったのだとか、そういうことももちろんだが、絢音には子供ができるという証拠でもあった。薄々は感じていたが、自分に何らかの原因があるのだと思い知らされた瞬間でもあったのだ。それをずっと今まで知らずにいたということも含め、量りがたいほどのショックを受けた雅成であった。しかし、それを迷った挙句に打ち明けた絢音の前では、止めて表情に出さなかった。何より、今現在絢音を苦しめている原因が自分にあると知った雅成は、自分にその事実で衝撃を受けたり怒ったり悲しんだり、そんな感情を妻の前で表す資格はないのだと言い聞かせた。
 そんなこんなで今に至るのだが、すっかり慣れて、むしろそれで絢音が明るく楽しそうにしているのならそれでいいと思っている。それに、実際に自分の子として認めるのであれば、絢音の言うとおり素敵な少年であればありがたい。その少年を養子に迎えることで、絢音も苦しまず、自分も苦しまず、絢音と別れることなくこの先生きていけるのであれば、いいではないか。
「ね、雅成さん。あの子がメールで写真を送ってくれることになってるの。斗音くんの写真も。貴方にあの二人を見せられるわ。ほんとにかっこいいんだから。それでね、今日あの子に夏のシャツを買ってあげたの。薄いペールブルーのシャツでね、とても似合ってるの。斗音くんは慈恩とはまた違ってすごく綺麗な子なのよ。ああ、早く雅成さんに見せてあげたいっ!」

 完全に羽目を外している。これが深層の令嬢だなんて思えない。でも、絢音はいつも雅成の前だけは建前も何もなしで、素顔でいられた。雅成はそう自負していたし、その感情が雅成をこの家で支えていた。

「何かありましたか、絢音さん」
 問われて、フォークで刺していたヒラメのムニエルの欠片を皿に戻す絢音である。
「何ですか、お母様、突然」
 母が少し訝しげに首をかしげている。
「いえ、なんだか浮かれているように思えたのです。・・・・・・違いましたか?」
 一緒に夕食をとっていた雅成は、一瞬ひやりとする。さすが母親と言うべきだろうか。しかし絢音はさらりと流した。
「いつも通りですわ。強いて言えば素敵なお買い物ができたことくらいです。そうよね、雅成さん」
「ああ、そうだね」
 慈恩に買ってやったというシャツのことを言っているらしい。嘘はついていない。
「まあ、何をお買いになったの?」
「夏のシャツです」
「お洋服一枚で、そんなにご機嫌がよろしいのですか?」
「そんなに機嫌よく見えますかしら」
 絢音の母は、少し眉をひそめる。
「貴女がそういう顔をしていた時を知っています。だから不安なんです」
 絢音はころころと笑った。少女のようなそのあどけない笑いの奥に、雅成はさりげないわざとらしさを感じた。
「嫌ですわ、お母様。ご自分の娘が機嫌よくて心配するなんて、聞いたこともございませんわ。何かおっしゃりたいんですか?」
「絢音、よせよ」
 小声で雅成が制止する。絢音の芯の強さは、時に攻撃的にもなる。母親に向けて時折そうなるのを、雅成は知っている。つい最近まで、その原因は自分たち夫婦に子供ができないことを色々言うせいだと思っていたが、今となってはそれがなぜなのかよく分かる。彼女が、絢音から産まれて間もない子供を引き離した一人だからだ。その生死すら教えず、絢音を十七年近く苦しませてきた九条家の一族。

「別にお母様がお困りになるようなことは隠しておりませんわ。ご安心なさって」
 にっこりと氷点下の笑みを載せる。母親は小さく溜息をついた。
 何ともぎこちなかった夕食を終え、絢音と雅成は二人の居間に戻ってくる。
「絢音、僕は何も知らないことになってるんだから、あんまりぎりぎりのこと言わない方がいいんじゃないか?」
 雅成が肩をすくめる。可愛らしい妻は小さく口を尖らせた。
「だって、お母様が言い始めたのよ。私がそういう顔をしてて、とんでもないことをしてくれたって。いつまでもしつこいのよ。こっちはまだ恨んでるっていうのに」
「絢音」
 よしよしと優しく抱きしめて、髪を撫でる。
「そうだ、メールが来てるかも知れないよ。見てみよう」
 二人で二階の書斎に上がる。そこに雅成のパソコンが設置してある。絢音はしょっちゅう使うわけではないので、この雅成のパソコンを共用しているのだ。
 雅成が手馴れた手つきでメールをチェックしてみると、果たしてそれらしきものが一通来ている。几帳面な慈恩は、帰ってすぐにメールを送ったのだ。絢音が催促する横で、雅成自身もちょっと期待しながらメールを開いた。もしかしたら、自分の息子になるかもしれない少年たちだ。短いが丁寧な御礼の文に続き、添付されてきた写真が出てくる。七人ほどの集団が写っている。慈恩の文によると、如月高校の執行部メンバーということだ。二人とも如月高校の執行部に所属するという時点で、優秀な兄弟だということは十分に分かる。
「この控えめに後ろにいるのが慈恩よ。ね?かっこいい子でしょ?それで、この綺麗な男の子。この子が斗音くん。お母様がフランスの方だったんですって。まさに美少年、って感じがしません?」
 絢音のご丁寧な説明で、雅成は初めて椎名兄弟を認識した。二人をじっと見つめる。これで双子というのだから、かなり無理がある。あまりにも似ていない。慈恩は絢音に似た黒髪や黒い瞳が印象的で、凛と落ち着いた雰囲気を湛えている。すらりとした長身に整った凛々しい顔、剣道をやっていると言われなくても、若武者というイメージがある。斗音の方は、全体的に色素が薄くてやや華奢な感じはするが、華やかさを持つまさしく美少年である。微笑んでいる姿は天使系のものに例えたくなり、その風貌は、明らかに外国の血を感じさせる。
「それにしても、よくもまあこれだけ正反対の美形がそろったもんだね。絢音の言ってた通りだ。いや、僕のイメージよりずっと上を行ってる。こんな双子なんて、すごい人気者だろうね」

 絢音が小躍りせんばかりに喜ぶ。
「そうでしょう?やっぱり雅成さんもそう思う?会ってみたら、絶対に気に入ると思うわ。正直斗音くんのことはよく知らないけれど、この慈恩が自分より器が大きいって言うくらいですもの、絶対に素敵な子よ。今度会う時は、斗音くんも一緒にって誘ったの。あ、それでね、貴方にも来て欲しいんだけど・・・・・・」
 今絢音の頭の中には、この二人を自分たちの養子に迎える計画で一杯になっているに違いない。雅成としては、この二人がどの親戚にも引き取られなかったわけがなんとなく分かった。これだけ優秀で外見も良くて・・・・・・となると、大概の家庭の子供より優れているに違いない。自分の本当の子供より優れた人間を引き取るとなると、なんだか癪に障るのが人というものかもしれない。自分たちには子供がいないから、はっきりそうとは言えないが、少なくとも子供を可愛がっている親はいい気分になれないだろう。
 もちろん、雅成がそんな理由で引き取りたくないという感情を持つことはない。正直、一度会ってみたいというのが本音だ。愛する絢音の本当の子供でもあるのだから。
「いいよ。都合がついたら僕もぜひ、この二人に会ってみたい」
 言いながら、かすかに胸の奥に不安を覚える。家名を気にするあまり、十七歳の少女から赤ん坊を取り上げ、病院に置き去りにするような親類たちが、再びその時の赤ん坊を家に入れることに賛成するのだろうか。それに、この斗音の風貌。絢音の血を全く受け継いでいない、このハーフの少年を、九条家が認めるだろうか。
(その前に、彼らの人柄を知ってからか)

 かすかな不安を押し流すように、雅成は苦笑した。

 九条家の全ての明かりが消えて、しばし沈黙の時間が流れた真夜中の二時。雅成の書斎で、主人以外の男が暗闇の中、液晶画面の明かりに己の顔を照らし出させていた。青白い光に浮かんでいるのは、形よく弧を描いた精悍な黒い眉に、どちらかと言うと切れ長で上がり気味の目。その唇の端が吊り上がる。くくっとこもった笑いが空気を揺らす。
「部屋の鍵も掛けず、パスワードもなしか。この家にはパソコンすら使いこなせない時代遅れしかいないとでも、思ってんのか?」
 ウィーンウィーンとプリンターが音を立て、データを映し出した紙を吐き出す。長身の男がひらりと取り上げたそれを、薄明かりで確認する。闇にぼんやり浮かび上がったのは、一枚の写真。如月高校の制服に身を包んだ、六人の少年と少女が一人。それを見た、九条家の運転手兼用心棒の顔が、にやりと笑みを湛えた。

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